チップチューンへの道!~第7回 LSDj対応フラッシュカートリッジの制作~
こんにちは、けんです。
前回まででMIDIキーボードからGB実機の音源を鳴らす方法を紹介してきました。
が、GBでチップチューンと言ったら、一般的にはLSDjなんですよ。
この連載でもフラッシュカートリッジを作成していましたが、以前作ったものは容量が足りないためLSDjは書き込めなかったのです。
ということで、今回はおよそ1年の時を経て、LSDj対応のGBフラッシュカートリッジを作成したいと思います!
改造するGBソフトの準備
まず、今回のフラッシュカートリッジ作成にあたっては、scytheさん(@scythe1005)がまとめた制作手順を大いに参考にさせていただきました。
scythe on Twitter: “去年書いたLSDj用フラッシュカートリッジ製作手順に少し手を加えて使えるカートリッジの一覧を追加したので興味あるかたはどうぞ。 https://t.co/2h9aLoFtdA / Twitter”
去年書いたLSDj用フラッシュカートリッジ製作手順に少し手を加えて使えるカートリッジの一覧を追加したので興味あるかたはどうぞ。 https://t.co/2h9aLoFtdA
フラッシュカートリッジの制作に使えるカートリッジもまとめられています。
リストには載っていませんでしたが、私は今回「ハイパーオリンピック ウィンター2000」というカートリッジを使用しました。
今回使用するのはA02やA06という基板が適しているのですが、カラー専用カートリッジはケースがスケルトンになっているので、購入前に確認できます。
表から見て基板右上に「DMG-A06-01」などと書かれています。
あと完成したフラッシュカートリッジにデータを書き込むのにGB Cart Flasherが必要です。
今回の用途以外にもセーブデータのバックアップや書き込みにも使えます。
自作することも可能です。
Flash ROMとSRAMの準備
使用するFlash ROM ICですが、GBで使えてLSDjが書き込めるものとなるとTSOPという形状のものになってしまいます。
これはもともとGBに実装されているマスクROMとは端子位置やピッチが大きく異なるため、実装が困難です。
そもそも5V動作のFlash ROM自体、レガシー部品なので入手難易度が高いです。
そこで今回はtindieでJ.Rodrigoさんが販売されているアダプタを使用させていただきました。
Flash Memory Adapter for some Game Boy Cartridges by J.Rodrigo on Tindie
今回は2MBのFlash ROMが実装されているアダプタを購入しました。
こちらを使用するだけで作成難易度はぐっと下がると思います。
ちなみに注文から1週間~10日間ほどで到着しました。
(到着したときはインフルエンザ真っ最中でした・・・)
セーブデータを保存するためのSRAMは秋月電子に売っているM68AF127Bを使いました。
作成に必要な工具類
まずはGBカートリッジを開封するために、いつものアレ。
トリッジ/ゲーム機の分解、交換、修復、清掃、修理ドライバー 2本セット”]
はんだやはんだごてはいわずもがな。
後述するポリウレタン銅線(UEW)の被膜を溶かすのに、高温に設定できる温調付きはんだごてがあると便利です。
【Amazon.co.jp限定】 白光(HAKKO) ダイヤル式温度制御はんだこて 基板が見える クリアタイプ FX600A
普通のはんだごてでは被膜が溶けないと思うので、紙やすりなどで表面を削る必要があります。
今回のカートリッジを制作する際に線材が必要になるのですが、いわゆるリード線(ビニル電線)では作業がやりにくいと思います。
そこで使うのがポリウレタン銅線(UEW)ですが、私はリール買いしたものをおすそ分けしてもらったので、今回使用した太さが分かりません。
髪の毛よりちょっと太いくらいなので、0.15mm~0.2mmくらいでしょうか。
ある程度細いと基板のスルーホールを通すことができるのでお勧めです。
ICを外したり、はんだ付け作業を行うと基板上に茶色い汚れのようなものがついてきます。
これははんだの中に入っているフラックスの残渣です。
フラックス残渣は腐食性を持ってるので、残しておくのは良くないと言われています。
しかし個人が自分のために作るような工作物であれば、そこまで気にしなくてもよいかとは思っています。
ただこのフラックス残渣を取り除くと見た目が非常にきれいになります。
ということで、私ははんだ付け後にフラックスクリーナーで洗浄しています。
私は以下のものを使っていますが、1年経ってもまったく減った気がしないので、もう少し小さい容量のものがあるといいんですけどね。
※追記 サンハヤトなら小さいやつもありました。
SRAMの交換
まずはセーブデータの保存に使われているSRAMの交換から始めますが、その前に電池を外しておきましょう。
元々付いている電池は切れているかもしれないので、この機会に交換してしまうのも手です。
カラー専用カートリッジを使えば電池ホルダー化してもケースが閉まるそうです。
続いてSRAMを外していきます。
通常のハンダゴテで外す場合は一本ずつハンダを溶かしながら、カッターやデザインナイフの刃を使って足を上げていったり、先に足をニッパーでカットしてから残った足を取り除くなど、やり方は色々あると思います。
IC取り外しの際には基板のパターンを傷つけたり、ランドを剥がさないように気をつけましょう。
フラックスも除去後の写真になりますが、基板がきれいになると気持ちいいです。
また、写真には残っていますが新たに取り付けるSRAMと干渉するので、近くにあるC6と書かれたコンデンサも外しています。
C6はSRAMの27pin(WE)とGND間のパスコンです。
私はSRAM実装後にWEピン近くに実装しなおしましたが、信号の流れ的にあまり意味のない場所ですし、無くても実動作にはあまり影響ないんじゃないかと思います。
あとはscytheさんの資料通りに実装すればOKです(丸投げ)。
SRAMの実装が終わったら電池を再度はんだ付けし、このカートリッジでセーブができるか確認しましょう。
セーブ後に電源を切り、ゲーム再開してセーブデータが消えていたら、SRAMの実装に失敗しています。
もしくはコイン電池が切れています。
Flash ROMの交換
Flash ROMもSRAMと同じように外してやります。
次にJ.Rodrigoさんのアダプタを実装するのですが、ショート防止のため基板にカプトンテープを貼っています。
そしていよいよJ.Rodrigoさんのアダプタ取り付けですが、実装されているFlash ROMの足がショートしていないか念のため確認しておきましょう。
私は今回2枚購入したのですが、1枚は35-36pinがショートしていました。
ショート解除しようと頑張ったのですが、一向に取れなかったので諦めました。
元々35-36pinはともにVss端子なので実害はありません。
Flashアダプタは外したFlashのランドにそのまま実装し、その後RESET、A20、A21、WEをポリウレタン戦を使って適宜配線すればOKです。
詳細はscytheさんn(以下略)
Flashの交換が終わったらGB Cart FlasherでLSDjのROMデータを書き込んでみましょう。
ROMデータを書き込む前に一度Erase Flashを実行しておきます。
書き込み後のカートリッジでLSDjが起動すれば、フラッシュカートリッジの完成です。
これであなたもチップチューナー!
ついにLSDjをゲームボーイ実機で動かせるようになりました。
が、肝心の使い方がわからない!
まずはこちらの説明書を読んで勉強します!
ひとまずこれでこの連載も完結の予定でしたが、自作したGB Cart Flasherが動かなくなってしまったので、そのあたりの顛末を記事にするかもしれません。
この記事を書いた人
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熱しやすく冷めやすく、さらに完全に形から入るタイプ。
電気回路を勉強中のへっぽこ会社員。
好きなレトロゲーム
【FC】テニス、バルーンファイト、ドラゴンバスター、ボンバーマン
【SFC】スーパーマリオワールド、エキサイトステージ、ドラゴンクエストV、VI、ファイナルファンタジーVI
【GB】ラクロアンヒーローズ、モトクロスマニアクス、魔界塔士Sa・Ga
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