JLCPCBでPCBAを100枚発注してみた!
目次
ゲーミングタグの反響がすごいことに
こんにちは、けんです。
すいラボでは昨年秋からゲーミングタグという陽気に光るアイテムを販売しています。
【新作】ゲーミングタグ🏷
またもや陽気に光るアイテムを作ってしまいました。その名も #ゲーミングタグ
ゲーミング感強めに賑やかに光ります!タグは首から下げられるようプラチェーンついてます!
今回のポイントはタグが付け替え可能になっているということ!(続)#デザフェス56 #デザフェス pic.twitter.com/8WSCXiAnuK
— すいラボ⚡️ゲーミングタグ予約分製作中🏷️ (@suilab_mochi) November 6, 2022
ゲーミングタグは表面のタグ部分を簡単に着せ替えできる仕様になっています。
#ゲーミングタグ デザフェス販売分が揃いました!
🏷TAG No.1【HELLO WORLD!】
🏷TAG No.2【パワー!】
🏷TAG No.3【ERROR】
🏷TAG No.4【LIFE MAX】タグは付け替え可能&今後増えていきます!価格と光る様子はこのあとお品書きツイートしてくのでそちらでご確認を😇#デザフェス56 #デザフェス pic.twitter.com/xX3Lj4qdK0
— すいラボ⚡️ゲーミングタグ予約分製作中🏷️ (@suilab_mochi) November 15, 2022
2022年秋のデザフェスで発売しご好評いただいたのですが、2023年春のデザフェス向けに新しいタグを発表した所、予想を超える大反響をいただきました。
デザフェス、コミケ、コミティアetc…、あらゆる業界の作者と売り子に捧げます。
ゲーミングタグ新作
【TAG No.7】作者
【TAG No.8】売り子とにかく光って目立つので自身のブースの目印にもおすすめです⚡️東京ビッグサイトの光量に負けない光を放ちます⚡️#ゲーミングタグ#デザフェス57 pic.twitter.com/L1sBUzeOyX
— すいラボ⚡️ゲーミングタグ予約分製作中🏷️ (@suilab_mochi) May 17, 2023
作り手としてもこれは反響があるだろうと踏んでいましたが、想像の何十倍もの反響があり驚きました。
さらにバズったのがデザフェスの3日前ということもあり追加生産ができなかったため、準備していた分が初日の開場から40分足らずで売り切れてしまいました。
ゲーミングタグ
・作者
・売り子
売り切れました会場で予約受付中です!#デザフェス57 https://t.co/aAdALNGv3O pic.twitter.com/5HGOm8rrXO
— すいラボ⚡️ゲーミングタグ予約分製作中🏷️ (@suilab_mochi) May 20, 2023
せっかく会場に来てくださったのに買えなかった・・・という方が出てしまうことは想像できたので当日は会場限定でのご予約を承ることにしたのですが、これまたありがたいことに多数のご予約をいただきました。
ということで、デザフェス翌日から怒涛の生産ラッシュが始まったのでした・・・
ゲーミングタグの構成
ゲーミングタグは大きく分けて4つの構成でできています。
・タグ部分
・LED基板
・本体ケース
・アクリルチェーン
タグは黒と乳白色のアクリルをレーザーカットしたものを貼り合わせて作っています。
レーザーカットサービスはElecrowのものを使っています。
本体ケースは3Dプリント製で素材はTPUを使って、柔らかい仕上がりになるようにしています。
本体のケースはTPUフィラメントで3Dプリントしたもの。
柔らかいのでタグの着脱もやりやすいはず。3Dプリントだと設計変更してもすぐに現物確認できるからホント良い!#ゲーミングタグ #SermoonV1Pro pic.twitter.com/V6ELfODyug
— けん@すいラボ🍜ゲーミングタグ制作中 (@suilab_ken) November 15, 2022
私が所有しているSermoon V1 Proではサイズ的に3個同時に作るのが限界で、さらに3個作るのに約7時間掛かってしまうので、Ender-3 S1 Proも併用して作っています。
しかし機種が変わると同じように印刷するのが難しくてなかなか一度にたくさん作るというのが難しい状況です。
なので1日に作れるのは12個くらいとなっており、ゲーミングタグの中でもネックの工程となっています。
アクリルチェーンはチェーン1個1個を組み立てて作っているのですが、結構指先に力を入れる必要があるため数をこなすと指を痛めてしまいます。
これまた大変な作業です。
そしてLED基板。
こちらはPCBとステンシルを発注してペーストはんだを印刷し、おうちリフロー&手はんだで作っていました。
しかし大量の予約に対応するにはおうちリフローではやってられないので、思い切ってPCBAを使うことにしました!
※PCBA:生基板の製造だけでなく、電子部品の実装までやってくれるサービス
思い返されるPCBAの悪夢
実はPCBAを頼むのは今回が2回目です。
以前PCBAを頼んだ時は基板メーカーに似て非なる部品を実装されてしまい、メチャメチャ大変な手直しが発生しました。
正直、自分でおうちリフローした方が速かったくらい修正に時間が掛かりました。
なんでそんなことが起きたのかというと、PCBAを依頼する時にはどこにどの部品を使うかを指定する必要があります。
私は普段おうちリフローの時に使っている部品を指定したのですが、「うちで持っている似たような部品を使えば安くできるよ!」という基板メーカーからのメールに対して、詳細なサイズなど確認せず送られてきた写真を見たのみで「大丈夫そう」と判断してしまったことが原因でした。
問題の部品はSMTの電池ホルダーだったのですが、届いた基板を見ると電池ホルダーの足が完全に基板からはみ出してしまっていました。
これではLEDアクセサリーとして使えないので、泣く泣く全数部品を載せ替えたのでした・・・
それが大体3年前の出来事です。
それからという物、PCBAは避けてすべておうちリフローで部品実装していました。
ここがうれしい!JLCPCBのPCBA
メーカー側が持っている部品のすべてが把握できない&データシートが無いので部品の詳細が分からないというのが前回PCBAを依頼したときの失敗の原因でした。
もっと簡単に確実にPCBAが頼めればいいのに・・・
それが実現できるのがJLCPCBのPCBAサービスです。
(ちなみにこの記事はJLCPCBからは何の見返りももらっていません)
JLCPCB自体は以前から知っていて基板も作ってことがあるのですが、すいラボの基板として採用できなかったのがレジスト色にマットブラックが無いというのが理由でした。
すいラボのLEDアクセサリーは基板そのものもデザインの一部となるため、初期から艶のある黒ではなくマットブラックの基板を採用しています。
マットブラックのレジストが使える基板メーカーは少なく、使えてもほかのレジスト色より費用が高くなったりします。
JLCPCBにも黒基板はあるのですが、マットブラックはありません。
とはいえ、今回のゲーミングタグ基板に関しては基板むき出しで使うわけではないので試しにJLCPCBの黒基板を作ってみました。
それがこの基板。
「えっ・・・黒って言ってもマットブラックやん・・・」
「なんなら今まで使ってた基板メーカーのマットブラックより質感いいやん・・・」
JLCPCBの黒レジストがマットな感じの黒だったのはうれしい誤算でしたが、JLCPCBのPCBAで本当にうれしいのは以下の2点です!
1.中国の電子部品通販サイト(LCSC)と連携しており、そこの部品をPCBAで使える!
2.かなりの部品でフットプリントを準備してくれてる!
LCSCの部品が使える!
LCSCは多種多量の電子部品を保有しているため、たいていの部品はそろっています。
JLCPCBでPCBAを依頼する時に呈出するBOM(部品表)にLCSCのパーツ番号を記載しておくとその部品を使うことができます。
さらにPCBA注文時に部品の詳細なども確認することができるため安心感があります。
このように明確に部品指定ができるので、前述したような似て非なる部品が実装されてしまうという悲劇を避けることができます。
フットプリントも用意されている!(事が多い)
これは正確にはPCBAではなく基板設計する際に関わることなのですが、皆さん基板設計する時に使いたい部品のフットプリントが無くて困ることはありませんか?
データシートを見ながら作ることもできますが、中々面倒くさいですよね。
またKiCADなどに用意されているフットプリントを使ったら部品サイズが違ったという事故もtwitterでは良く見かけます。
しかしLCSCにある部品はフットプリントまでLCSC側で準備をしてくれていることが多いです。
例として、こちらのCR-1220用の電池ホルダーを見てみます。
MYOUNG MY-1220-01
MY-1220-01 MYOUNG US$0.0923 – Battery button -25℃~+85℃ CR1220 Plugin Battery Connectors ROHS datasheet, price, inventory C964817
EasyEDA Modelと書かれたところをクリックして
このように表示されればこの部品のフットプリントが用意されていることになります。
(何も表示されない場合はフットプリントが用意されていない)
ちなみにここで表示される回路シンボルとフットプリントはEasyEDAというブラウザで使えるCADアプリ用のものとなっていますが、フットプリントは私が普段使っているKiCAD用に変換して使うことができます。
詳しくはichirowoさんの記事をご確認ください。
残念ながら使えるのはフットプリントのみで回路シンボルは変換できませんが、個人的にはフットプリントが無い方が困るのでとても重宝しています。
1と2のメリットにより、JLCPCBのPCBAサービスが非常にオススメになってくるわけです。
PCBAの仕上がり
今回JLCPCBのPCBAで作った基板の写真を載せておきます。
PCBAの種類はSTANDARDで両面実装となっています。
全体像
LEDと電池ホルダー足のアップ。
今回電池ホルダーの足を計800本カットしてもらいましたが、追加料金は$23でした。
SPDTスイッチの足。
こちらはカットしていません。
自分の場合、基本的に基板面付はVカットにしているのですが、今回の基板は特殊な形状があるので一部mouse-bites(ミシン目)にしました。
バリは出ますが、簡単に割ることができました。
Vカット部分ももちろん問題なしでした。
シルクでQRコードを書いてみましたが、無事にスマホで読み取ることができました。
フラックスの残渣はばらつきがありましたが、9割程度の基板は見た目的にクリーニングしなくても問題ないくらいのレベルでした。
残りの1割くらいは下図のような手はんだ部周辺に跡があったので自分でフラックスクリーナーとIPAを使ってクリーニングしました。
黒基板は少しでもフラックスが残っていると非常に目立つのが面倒な点ではあります。
全体的な仕上がりは大満足なレベルでした。
デメリットは無いか?
この2か月で何度かJLCPCBでPCBやPCBAの発注をしていますが、個人的には価格を考えたら大満足な仕上がりですが、人によっては気になるかもしれないレベルのデメリットを上げておきます。
・基板表面についた傷を黒ペンで修正される
割合としてはかなり少ないですが、基板上に何かで付いた傷がある場合があります。
これはある程度仕方ないと思いますが、その後を黒いペンで塗って修正されていました。
特にこちらで指示した訳でもないですし、納品時に説明があった訳でもないので、用途によっては気を付けた方が良いかもしれません。
・形状によっては基板端にエッジレールを付ける必要がある
今回作った基板が特殊形状だったせいもありますが、面付基板の上下左右にエッジレールを付ける必要がありました。
今回の場合、角丸基板でVカットによる面付けを行っていたことが原因でした。
Vカットラインが直交する基板端面は角丸になっていてはダメなようです。
以前別メーカーで作った際には以下の設計で作れていたので最初は面倒に感じましたが、分かっていれば最初から追加すれば良いだけなので、以降は他の基板でも最初からエッジレールありでの設計にしています。
ただエッジレールを追加することにより基板外形が大きくなるので若干のコストアップになります。
・OCS Expressが遅い?
同じOCS Expressで発送しても中国の深センにある基板メーカーに比べると、香港にあるJLCPCBから基板が到着するのに3~4日多く掛かっている気がします。
日本との距離的にはそれほど変わらないと思いますが、いろいろ事情はあるのでしょう。
途中、何回かやり取りが発生したものの、発注から到着までは15日程度でした。
・やり取りがすべて英語
今どきはDeepLのような優秀な翻訳ツールがあるので困りはしないと思いますが、サポートとのやり取りは英語になります。
サポート自体は非常に質が良いと感じています。
返事は割と早いですし、何か問題があればすぐに連絡してきてくれます。
ただし土日はサポートも休みっぽいので注意しましょう。
・製造数量が少ないと割高に
PCBAを行うためには専用のメタルマスクの作成など、初期費用的なものが発生します。
そのため生産数量が少ないと基板一枚あたりに載ってくる初期費用が割高になります。
逆に言うと製造数量が増えるにつれてコストメリットが上がります。
まとめ
JLCPCBのPCBAサービスを使って面付け基板100枚(子基板200枚)を発注してみました。
これだけの数の基板を自分の手で作ることを考えたらとんでもない時間が掛かりますし、思っていた以上にPCBAを安く利用することができたので結果には大満足しています。
これからはなるべくPCBAを利用していきたいですね。
そして空いた時間を使って新作の開発にも力を入れていきたいです!
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この記事を書いた人
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熱しやすく冷めやすく、さらに完全に形から入るタイプ。
電気回路を勉強中のへっぽこ会社員。
好きなレトロゲーム
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