Elecrowのアクリルレーザーカットサービスを使ってみた!

こんにちは、けんです。

先日Elecrowという中国にあるプリント基板(PCB)メーカーが行っているアクリル板のレーザーカットサービスを使ってみたので、状況をまとめておこうと思います。

Elecrowとは?

中国の深センにあるPCBメーカーです。
すいラボのアクセサリーで使っている基板のほとんどはElecrow製というくらい、お世話になっているメーカーです。
(改めて数えたら47回発注してました!!)

深センにはほかにもPCBメーカーがありますが、すいラボがElecrowを使っているのはマットブラックのレジスト(基板色)を選べるからです。
他のメーカーではマットブラックの選択肢が無いことが多いですね。

そんなElecrowですがPCBの製造以外にも3Dプリント、CNC切削加工、アクリルや木材のレーザー加工といったサービスも行っています。
今回はアクリル板のレーザー加工をWeb上から依頼しました。

作成するデータについて

ElecrowのアクリルレーザーカットサービスはメニューのMore Servicesの中にあります。

アクリルカットページの下の方を見るとファイル形式はCAD,CDR,AI(Illustrator),PDFのいずれかである必要があることが分かります。
国内の施設でレーザーカットサービスを利用したことがある方なら、データを作る際に線幅や線色の指定があったと思いますが、そのような指定は見当たりません。
うちは国内の施設でレーザーカットしたデータがあったので、線幅は0.001mmにしましたが、線色はすべて黒にしました。

レーザーカットは形状によってカットする順番を指定する必要があるので、線色を分けてデータを作成する必要があるのですが、その辺はElecrow側でよろしくやってくれているみたいです。
現にこんな感じの文字の切り抜きも問題なく出来ました。
(OやDは内側を先に切る必要がある)

データ形式はPDFとAI両方を添付しました。
国内のFab施設でIllustratorから出力したPDFを持っていったら外形が認識されなかったことがあったためです。

あと用意したデータ種別によってはレーザーカッターの制御ソフトで読み込んだ時に縮尺が変わってしまうことがあります。
そのため分かりやすい箇所の外形寸法をデータに直接入力しておくか、別途テキストファイルに寸法を記載しておくと良いです。
今回は以下のような形状のカットもしたので、テキストファイルに”Width 98.2mm x Height 38.7mm”と記載しておきました。

発注方法

基板発注よりは選択する項目が少ないので簡単です。

寸法:10cm×10cm以下は価格が一定です。片側だけでも10cmを超えるとコストアップします。
数量:最低数量は5枚です。1枚しか必要なくても同じものが5枚届くことになります。
厚さ:色によって選べる厚さが異なります。透明、白、黒はすべての厚さを選択可能。それ以外の色は3mm or 5mm厚のみ選択可能です。
彫刻:レーザーカットだけでなくレーザー彫刻も可能ですが、かなりコストアップします。カットと彫刻の指示は元データかテキストでの指示が必要と思われます。
色:様々な色のアクリルを指定できます。写真のみですが、発注ページ下部に色見本があります。

これまでに3回発注していますが、 いずれもMatte Transparent (P422)と Matte Black (P502)、3mm厚のものでレーザーカットを依頼しています。

精度や品質(1回目)

1回目は10/30に発注して6日間ほどで到着しました。
保護シートが付いたまま送られてきます。
パッと見は問題なさそうです。

ちなみにマットタイプのアクリルでもマットなのは片面のみで、反対側はツルツルタイプになっていますので、両面マットが必要な方はご注意ください。

寸法については縦横サイズは問題なかったものの、厚みを測ると2.55mmしかありません。

3mm厚のはずが2.55mm厚となっていると公差とかのレベルでは無いですよね。
作るものによっては設計変更が必要になるでしょう。
現に私もアクリル板の厚さに合わせた筐体の設計変更を行いました。

文字の切り抜き部を拡大してみてみると、端部がカットラインよりも外に広がっていました。
レーザー径などを考えると仕方ないかもしれません。

あと今回は5枚発注したのですが、1枚だけ切り抜いた文字が変形している箇所がありました。

これを裏側から見ると溶けてしまっていることが分かります。

おそらくカット時に貫通したレーザーの反射光によって溶けてしまったものと推測しています。
できるのか分かりませんが、浮かせてカットしてもらうなどの対応が必要かもしれませんが、以降はこのような不具合はありませんでした。

ちなみにレーザーカットした端面はこんな感じになります。

また切り抜いた文字もすべて送ってくれましたが、必ず送ってほしい場合はテキストファイルにその旨記載した方が良いです。

精度や品質(2回目)

そこそこ使えることが分かったので、11/6に追加発注しました。
この時は到着まで9日間かかりました。

問題の寸法ですが、今度は厚さが2.71mmありました。

私の場合は許容できる誤差でしたが、これだけ厚みにばらつきがあると製作物によっては使えないということも出てきそうです。

おそらくですが、1回目と2回目では製造した工場が違うのだと思います。
というのもElecrowの場合、基板も毎回のように出来上がる品質が違うのです。
具体的には基本的な性能は問題ないものの、レジスト色が微妙に異なっていたりします。

緑レジストでも明るめの緑の時もあれば、若草色のような色の時もあります。
オプション扱いのマットブラックですら、完全なマットの時もあれば若干艶があるような時もあります。
シルクの色味も若干違っていたりします。

このことから基板の製造は複数の工場で行っていることが予想され、アクリルのレーザーカットも同様に複数工場で製造が行われているのだと推測しました。
特に基板は国内で製造するのに比べたら破格の安さなので文句は言いませんが、追加料金払うので高品質な製造が約束されるオプションが欲しいところです。

ちなみに2回目の製造時は切り抜いた文字は送られてきませんでしたし、反射光による変形もありませんでした。

精度や品質(3回目)

3回目は11/22に発注し、到着まで15日間掛かりました。
この時は一緒に基板も発注しましたが、基板とレーザーカットは全く別工程で並行して作業できるので納期は変わらないと思っていたので、イベント出展まで日が無いこともありかなり焦りました。
何とも言えませんが、急ぎの時は基板とレーザーカットは別で発注した方が良いかもしれません。

3回目の厚みは2.71mmで2回目の時と同じ厚さでした。
2回目と同じ工場だったんですかね。

しかし3回目は切り抜いた文字も一緒に送られてきました。
やっぱりこの辺は必要があるのであれば、テキストファイルにその旨記載した方が良いですね。
3回目も反射光による変形はありませんでした。

作ったのはこんな物

今回レーザーカットしたアクリルですが、ゲーミングタグという作品に使いました。
文字や図形がゲーミングな感じでビカビカ光るという物です。

タグ部分は磁石でくっついてるので交換できるようになっています。

デザフェス56や博物クリスマスでもご好評いただきまして、通販も開始したので気になった方は是非チェックしてみてください!

今回アクリル同士を接着するのにアクリサンデーを使いましたが、扱いはちょっと難しいものの、一瞬でアクリル同士を接着できるのは便利ですね。

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PLAで3Dプリントした造形物同士もアクリサンデーでくっつけられるのいいですね!

まとめ

ということで、Elecrowで3回レーザーカットを試しましたが、精度や品質は若干気を付けなければいけない所があるものの、十分に使えるものだと感じました。

コストについては2022年現在、円安による影響が無茶苦茶大きいですが、材料費込みでMatte Transparent (P422)と Matte Black (P502)の場合$9.5というのは破格だと思います。
さらに透明アクリルだと5枚で$3.3~カットできちゃいます。

もちろん別途送料が掛かりますが、近隣にFab施設が無い場合は交通費も掛かりますしね。

当分はアクリルレーザーカットもElecrowのお世話になりそうです。
本音を言えば家にレーザーカッターが欲しいんですけどね・・・

この記事を書いた人

けん
けん
熱しやすく冷めやすく、さらに完全に形から入るタイプ。
電気回路を勉強中のへっぽこ会社員。


好きなレトロゲーム

【FC】テニス、バルーンファイト、ドラゴンバスター、ボンバーマン
【SFC】スーパーマリオワールド、エキサイトステージ、ドラゴンクエストV、VI、ファイナルファンタジーVI
【GB】ラクロアンヒーローズ、モトクロスマニアクス、魔界塔士Sa・Ga

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